北部初の心臓血管外科2006年、10月。山口さんの念願である北部地区で初の心臓血管外科が開設された。何かあった時は中南部の病院まで移動し入院、手術をする以外に術のなかった北部地域の住人にとって、嬉しい報せだった。24時間体制で緊急手術にも備えている。
「私は平成元年頃から沖縄に手術のお手伝いの為、月に2度ほど訪れていました。やがて趣味のダイビングで名護によく足を運ぶようになって・・・そんな中、『北部には心臓血管外科がないな。心臓外科がない中、住民は不便な思いをしていないだろうか。また、もしもの時はどうしようと、不安な気持ちで生活しているのではないだろうか』という考えが自分の中で大きくなってきました」
大好きな沖縄の力になりたい。そんな想いから、ついに東京から沖縄へやってきた。
病気に勝つために「患者さんに、ご自身の病気のことを理解して欲しい。自分の病気に勝つには、自分の病気を知ること。これはとても大切なこと。だから、時間をかけてでも、病状、治療法、手術等で生じるリスク等の説明を行います。ただ、医療の話は簡単ではないですからね。わかりづらい話だと感じられるかもしれません。ですから、理解してもらう努力は忘れません」
良い治療にはお互いの力が必要。何度も説明するのは、最高の結果を出すためだ。
命の神秘、美しさを感じて。医者になるまでに紆余曲折あったが、その経験一つひとつが「医者である今」を支えている。ガソリンスタンドや食堂で働いて、自分に必要なものを探した時期もあったという。人と接する仕事に長く携わってきたからこそ、相手を気遣うことに長けている。
医療の世界を目指す新しい芽の誕生を願い、小学校などで「心臓外科講演会」を開き、子供達に医療のこと、命について語りかける活動も行っている。実技演技を見せたり、血圧の測定体験など、子供達が医療に触れる機会を提供している。
「講演会後、『お医者さんになりたい』、『看護師さんになりたい』といった感想文を書いてくれる子がいると、本当に嬉しいですね。そういった活動を通して、地域の皆さんとより良い医療のある北部を創り上げていけたら」
---もし、あなたの家族や友達が病気にかかったら、あなたはどう思いますか?どうしてあげたいですか?そう語りかける山口さんの言葉は、子供達にどう響くか。悩みながら、共に歩んで行く。
よりよい北部へ。
よりよい沖縄へ---。