■そもそも「美しい」とは?
「『美しいとはなにか』。人それぞれ、髪型やファッションが違うように見識、価値観の見出し方は多種多様です。ここに足を運んでくださる患者さん一人ひとり、美についての感覚、考え方は違いますから。強いて私個人の考えを言わせてもらえば、痩せすぎは健康上どうなのかな?というのはありますが。健康をないがしろにしてでも外見にこだわり、その結果容姿が優れて見えるからと言って、それを美しいと表現していいのか。難しいですよね」美的センスは人の数ほどあり、一概に言えるものではない。美容形成外科とは一般的なイメージ以上に奥が深く、膨大な知識が必要な医療だ。 ■個人的、社会的背景が影響「刺青を腕に入れた社会人のAさんがいると仮定します。Aさんはきっと、かりゆしウェアを着ることについて頭を悩ませている。長袖のシャツなら、仕事中は隠せたはずの刺青。しかし、かりゆしウェアだと露見してしまいます。刺青のある社会人、きっと世間的に良い目では見られませんよね。これは、自分が信じている美的感覚が全ての人、社会に対しても絶対ということはないという1つのたとえ話。Aさんの例を挙げ考えれば、これだけ浸透したかりゆしウェアも全ての人に適しているかと問われると、そうではないのかもしれない。美的感覚について詳しく話すと哲学的になってしまうので、これくらいにしておきますが・・・。顔の傷を隠すために長髪にしている、火傷の痕が気になるから長袖を着る、という具合に、人それぞれのファッションには理由があるものです」 「患者さんと話す時間は、1回の診察で約30分ほど。そんな短時間で人の気持ちを完全に理解するなんて、できませんよね。それでも、患者さんがここまできた理由、本当の気持ちを掴まなければ・・・」 一般人のファッションほど、メディアに左右されるものはないのではないか。時代の移り変わりと共に、患者も変わってきた。変化への敏感な対応が求められる--。 「時の流れと共に、患者さんからのニーズは多種多様になりました。形成外科は以前に比べ、友達同士で治療に訪れるほど生活に近い存在になり、相談するために来院される方も増えた。これは、良い傾向だと思います。自分の体のことを医師に相談するのは必要なことですからね。自分に合ったかかりつけ医がいると、なお安心です。私達医師は、増えるニーズに柔軟な姿勢を示し、患者さんに対してその場限りの診察ではなく、アフターケアまで視野に入れた診察をしなければ。法律で『ここまでやらなければならない』とあれば、それ以上に高い志、倫理観を持たなければならない。楽ではないけれど(笑)大切なことだと思います」
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