手作りの眼底カメラで目の症状を説明 「目の状態をすぐわかってもらえるよう説明するために、こんなものをつくってね」と、石川さんが見せてくれた小さな物体は、手づくりだという眼底検査用のビデオカメラ。患者さんに目を伝えたい、その一心で工夫したものだという。
目を正面や斜めなどから細かく写して、パソコンにつないで録画。患者さんは映し出された自分自身のドアップの目を見ながら、説明を受ける。例えば充血の具合やコンタクトレンズの入り具合、まばたきの具合、水晶の具合、緊急処置が必要な症状など。停止再生もスローモーションによる確認も可能なので、どの部分にどんな問題があるか、患者自身も一目瞭然だ。
もともと医療器具専門の設置型カメラはある。固定タイプのため斜めから写すことができないなど使い勝手が悪く、高価なのだという。それを手づくりという工夫で解決した石川さんのアイディアには驚く。ズームアップレンズはメガネのレンズを改良、固定されるための台にはガムテープなども見え、石川さんの飾らない性格がそのままだ。
今度は模型を使ってあれやこれや 画像を利用して、一つひとつの症状を丁寧に、納得のゆくまで説明をくり返す。「それをしたかった」と、気さくに言葉を並べた医師の思いやりにうれしくなる。
しかし画像によって説明を受けても、ピンとこないことも多々。そんなときは目の模型を使い、目の奥でどんなことが起こっているのか説明していく。「今は大丈夫、でも定期的に検査を受けてほしいこともある。」細かな部分を伝え理解すると大事に至らないでしょう?」
笑顔を鍛えてアンチエイジング 石川さんは昭和18年生まれ、63歳。表情はイキイキと快活だ。テニスやNAHAマラソンにも親しみ、今はスポーツジムで筋力トレーニングや水泳を楽しんでいるという。アンチエイジング医学会にも参加、自身の老化予防や目の老化予防にも深い関心を寄せている。基礎体力を維持し筋力を保つことは、身体にも目にも重要なことなのだという。「表情筋がきちんと機能しないと、顔の筋肉を鍛える運動をすすめているんです。よくね、美容雑誌にたるみを防ぐ顔の運動が載っているでしょ?あれは目にもおすすめ」アンチエイジングで美しく、目も健康に。
患者さんの目のために、石川さんの話はとどまることを知らない。「眼科医になって、間違いなかったなーと思います。親父も眼科医だった。患者さんからよく、あんたのお父さんはやさしいお医者さんだったよ、と聞かされるんですよね。マジメ一本やりの親父は、患者さんに対していい表情を見せていたんでしょう。医療は日々発展し、医療機器も最先端のものへと切り替わっていく。その中で私ができることをきちんとやりたい。時間をかけて説明していくのも、私の役目なんでしょうね」
柔らかな口調で丁寧に説明を重ねる石川さん。年季と円熟味、工夫と若さ、全てが石川さんのすてきな特徴だ。